いつの間にか、私たちの生活にすっかり定着した“マステ”ことマスキングテープ。「マスキング=覆い隠す」という本来の用途だけでなく、職場ではセロハンテープやポストイット代わりに、キッチンでは食材を仕分けるラベルに、と大活躍。まだまだ続くマスキングテープの進化を、包装資材の老舗で取材してきました。

「あると便利」から「ないと困る」へ

セロハンテープのように貼れるのに、すぐにはがせて貼りなおせる。和紙製だから表面に文字も書けるし、手でちぎれてハサミいらず。今ではオフィス・学校・家庭とさまざまな場所で重宝される存在になりました。「あると便利」なアイテムから、「ないと困る」日用品の域に達したと言っても過言ではないでしょう。


たとえば、業務用の包装資材を専門に取り扱う『株式会社シモジマ』。1920年創業で日本における包装資材の老舗専門企業といえます。


株式会社シモジマが運営する通販サイト『ラッピング倶楽部』には、マスキングテープだけでも1300品目以上の取扱い。様々なメーカーのテープが並んでいます。


『ラッピング倶楽部』の店長を務める梶塚智司(かじつか・さとし)さんとスタッフの新田里奈(にった・りな)さんも、ここ最近のマスキングテープの”進化”に驚いているようです。


ラッピング倶楽部の梶塚さんと新田さん

『ラッピング倶楽部』店長 梶塚智司さん・新田里奈さん

「デザイン性に富んだマスキングテープが初めて世に出てからずいぶん経ち、ブームもそろそろ落ち着いたかな? という印象がありましたが、逆にすっかり生活に定着して、さらに新しい商品が登場しています。弊社では季節ごとに商品の入れ替えをしているので、実際に何種類のマスキングテープを取り扱っているか、正確な数字はわかりませんが…。我々が運営する『ラッピング倶楽部』でも、ここ数年でマスキングテープの売上数は格段に増えましたね」(梶塚さん)。


そんなマステブームに拍車をかけるようにシモジマでも、自社ブランド「HEIKO(ヘイコー)」から、オリジナルデザインのマスキングテープを2015年から販売しています。

シモジマが作った“オリジナルマステ”

HEIKOオリジナルマスキングテープ

HEIKOオリジナルマスキングテープ

「HEIKO」は、ベーカリーや雑貨店といった小売店向けにシモジマが展開する、オリジナルブランド。その名前は知らなくとも、誰もが一度は目にしたことがあるはず。ためしに、手元にあった紙袋の底の部分を見てみると・・・確かに、HEIKOの文字!


お買い上げ品を入れる紙袋や手提げ袋、包装紙、リボン、ギフト箱など、包材の大半を扱っています。HEIKOマスキングテープの特徴も、まさにそうした取扱商品の守備範囲の広さ。包材のプロとして長い歴史をもつシモジマが、これまで制作してきた包装紙のデザインを活用したものなのです。


「弊社は2020年に創業100周年を迎えますが、創業以来からの包装紙のデザインがストックされています。そうしたデザインを他の商品に展開できないかと検討した結果、マスキングテープが採用されました。膨大なストックの中から厳選し、2015年からシーズンごとに数種類ずつ追加する形で販売しています」(梶塚さん)。


棚いっぱいに並ぶ豊富な包装紙

棚いっぱいに並ぶ豊富な包装紙のデザイン

そういわれて、改めて見てみると・・・確かに! むかし近所の文房具屋さんでもらった紙袋が、こんな柄でした! 長年多くの人々に親しまれてきたデザインを、マスキングテープとしてリバイバル。中には、包装紙としては廃番になってしまった懐かしのデザインが、マスキングテープとして“息を吹き返した” 例もあるそうです。


懐かしいデザインの包装紙

どこかで目にしたことのある懐かしいデザイン


「包装紙のデザインを使うといっても、そっくりそのまま転用するというわけではないんです。テープは面積が限られていますから、テープの幅でもしっかりデザインが伝わるようなものを選ぶようにしています。包装紙は面が広いので、どの部分の柄を切り取るかによってもイメージが全く変わってきます」(新田さん)。


歴代の包装紙と並べて。上から「コルク」「キスミー」「コンパス」「フレンチチケット」「エデン」

長年シモジマの包装紙を愛用してきたお客様からのリクエストで制作したものもあるそうです。そのひとつが「キスミー」。50年代・60年代のアメリカ風のイラストをレイアウトした柄ですが、実際にマスキングテープにしてみたところ、「その部分じゃない柄をテープにしてほしかったのに・・・」というお客様からのお声もありました。


一方で、包装紙時代はあまり売れ行きが良くなかったにもかかわらず、マステ化したところ売れだしたデザインも。マステ効果に引っ張られる形で、包装紙の売上も伸びた例もあるそうです。しばらく眠っていたデザインが、マスキングテープに姿を変えることで、新たな人生を歩みだしたというわけです。


マステを使った「裏技」大公開!

進化したのはデザインだけではありません。その使い方も、ちぎって貼る以上の用途が日々編み出されているそうです。


シモジマの新田さん

「ラッピングが大好きでシモジマに入社しました」という新田さん

「包装紙の場合、広い面を見せるという使い方がメインになりますが、マスキングテープは柄を中心とした使い方。つまり、ラッピングの一部として使うことができるんです。しかも剥離性があるので、失敗しても剥がしてやり直せる。包装紙は一度折り目がついてしまうと、やり直しがききませんからね」(新田さん)。


といって、『ラッピング倶楽部』の新田さんが見せてくれたのは、マスキングテープを使ったラッピングアイデア。箱全体を包装紙で包むのではなく、箱の一部にテープを貼るだけ。なんてことないボール紙も、端にテープを貼るだけでおしゃれなグリーティングカードに。いたってシンプルですが、テープの柄が際立って、これだけで見た目がパッと華やかになります。


マスキングテープを使ったオシャレなギフトタグ

ボール紙にテープを貼るだけで、ちょっとおしゃれなタグに変身

さらに新田さんが教えてくれた裏技が「リボン使い」。


マスキングテープを裏表で貼り合わせて、リボンの代わりに使います。コツは、テープの長さいっぱいに貼り合わせるのではなく、一部だけ粘着部を残しておくこと。


貼り合わせたテープを輪っかにして、残しておいた粘着部分で中央を止め合わせれば、リボン結びそっくりの形になりました。この輪っかをいくつも作って重ねてゆけば、見事なリボンの完成!


1.テープを重ね貼りする 2. ぐるっと輪っかにする 3.輪っかをいくつも重ねて形を整える 4.ホチキスで止めれば完成!

「実は私、とても不器用なんです。一見難しそうなリボン結びをマスキングテープで出来ないかな~、マスキングテープでやったらどうなるかな~、と考えながら、つねに新しい使い方を模索しています。リボン1本で結ぼうとするとかなりのテクニックが必要ですが、マステならやり直しがきくし、簡単にできるのでおすすめです」(新田さん)。


他にも、マスキングテープの上にレジン(硬化樹脂)を盛って、オリジナルのアクセサリーを作ったり、既成のクリップを装飾してみたりと、マスキングテープの柄を活かした使い方が次々登場。斬新なアイデアの数々を見ているうちに、見ている側も創作心を刺激され、つい何か作ってみたくなります。


女性専門のようなイメージが強いマスキングテープですが、意外と男性にも愛用者は多いのだとか。


「男性でも購入される方は結構いらっしゃいます。最近では幅広タイプのマステや、防水処理を施したものもあって、シンプルな家具に貼ってカスタマイズしたり、キッチンの壁や冷蔵庫の扉に貼ったりと、インテリアの一部として使う方も多いようです」(梶塚さん)。


梶塚さんは『ラッピング倶楽部』に配属になって4年目、徐々にマステの面白さを実感されているそうです。

パッと浮かんだアイデアが、すぐに形になる喜び

「マスキングテープの面白さは、限られたスペースに趣向を凝らしたデザインが凝縮されているところ。しかもテープなので、それが連続して続いていく。細長い空間の中で豊かな世界観を表現できるところが、多くの方を魅了している理由だと思います」(新田さん)。


その世界観に刺激されて、自分でも何か作ってみたくなる人は多いはず。パッとひらめいたアイデアをすぐに形にできるのも、シモジマならではの強みです。


というのも、紙袋や箱、雑貨小物や装飾品、さらには接着剤や道具類まで、ラッピングに必要なありとあらゆる商材を取り扱う包材のプロだからこそ、アイデアを形にするために必要なアイテムをいっぺんに揃えることが可能。発想から完成まで、時間差なしで実現できると、梶塚さんは言います。


「数年前まではマスキングテープの品ぞろえを増やすことに力を注いできましたが、これからはサイト上でラッピングの画像や動画を公開するなど、さまざまな応用アイデアを紹介する方向に積極的に取り組んでゆく予定です。包装資材を総合的に提供できる弊社ならではの強みを活かして、マスキングテープと他の包材や道具をパッケージにした“スターターキット”を作るのもいいですね。いまハンドメイド市場は追い風傾向にありますが、『不器用だから』とあきらめがちな人や、ハンドメイドを初めてトライする人でも簡単にできる環境を提供していきたいと考えています」(梶塚さん)。


ふだんはハンドメイドとは無縁でも、これならできるかも! という気持ちにさせてくれるマスキングテープ。こんな小さなアイテムから、驚くほどの感動と創造力がわいてくるから不思議です。


さて、どんな風に使いましょう? >発想を形にする準備は整っていますよ!




DATA

HEIKO(ヘイコー)マスキングテープ

シモジマ歴代のオリジナル包装紙柄を使ったマスキングテープ。豊富なストックの中から、とくに人気の柄を厳選しました。手紙やインテリア、スクラップブッキング等のアクセントなど、さまざまな用途に使えます。

素材
和紙
サイズ
  
1巻:幅18mmx7m/幅15mmx10m
購入できるお店
ラッピング倶楽部 購入する

SELECTED SHOP

ラッピング倶楽部の梶塚さん

ラッピング倶楽部

包装資材の老舗企業シモジマが運営する、オンラインショップ。「このお店に来れば、なにか楽しいものがみつかる」をコンセプトに、ラッピング用品・梱包用品・文房具・ホビークラフト用品・雑貨など、幅広く取り揃えた大型セレクトショップです。


公式通販サイト:http://www.wrappingclub.jp/